代表あいさつ

歴史と伝統から踏み出す勇気

それは一本のカレースプーンから始まった

今から129年前、私の曽祖父・京太郎は苦しい家計を助けるため、石焼き釜を借りて石灰を焼く事業を始めました。
現在の株式会社丸京石灰です。

石灰を焼き始めて75年ほどたった昭和40年。
大分市内の海苔屋さんから「石灰を乾燥剤として使っているのだが、小袋にする作業が大変なので小袋に詰めた状態で納品してもらえると助かる」と相談を受け、石灰乾燥剤として納品を始めました。
鳥繁産業所の誕生です。

石灰石を小さく砕き、カレースプーンでひとつひとつ紙の小袋に詰めていく作業は、最新鋭の機械で毎分何百個の製品つくりをしている今の私などには、到底想像もできない大変な作業であったことは明白です。

石灰を焼き、肥料用や工業用のアルカリ剤として、大袋に詰めて出荷する作業しか経験のない中、あるものを最大限に使って一個一個手作業で作ったこの乾燥剤は、古き良き時代の物づくりの原点であり、また、長い伝統から一歩踏み出す勇気を持った先代社長である父・克行の行動力の賜物だと今でも感じています。

鳥繁産業の創業物語

既存からの脱却

あるものを進化させ、ないものを生み出す

石灰乾燥剤(ドライカル)に始まった商品開発は時代のニーズと貴重なご縁により、乾燥剤(シリカゲル)、脱酸素剤(エバーフレッシュ)、保冷剤(ファインパック)と商品ラインナップを増やしていきました。

石灰乾燥剤に留まらず、電子部品などにも使える乾燥剤(シリカゲル)の製造や、コバルトを使用していない環境対応型乾燥剤(コバルトフリー)など、既存の乾燥剤から進化させる努力をするとともに、今までにない新しい商品の開発にも取り組んできました。

半生菓子のしっとり感を保ちつつ鮮度を守るアルコール揮散剤(アルベール)。誤飲事故の多い粒状乾燥剤に代わる新しい形状のシート状乾燥剤(シートドライヤー)は、切実なニーズに合わせて弊社が共同開発した独自性の高い商品です。

様々な形態、効果の鮮度保持剤を扱っているメーカーだからこそ、お客様からどのようなご相談を頂いても、どの鮮度保持剤のどの大きさのものを使えば良いか適切にアドバイスし供給できる自信があります。

脱却からの跳躍

思いもよらぬ方向への大ジャンプ

様々な形態の鮮度保持剤を製造するようになった頃、保冷剤の製造ラインでカビが生えるというクレームが発生しました。

保冷剤は主に食品と共に使用されるものですし、また、製造に携わる大切なスタッフの健康面も配慮しなければなりません。
防カビ対策として色々な薬剤を検討しましたが、安易な防カビ剤は絶対に使いたくありませんでした。

防カビ性能、安全性、環境への配慮、そのすべてを持つ夢のような防カビ剤。
妥協なき探究を続けること1年、ついに探し当てたのは微酸性電解水(ピュアスター、アクアサニター)でした。

津久見の水を使って作ったこの微酸性電解水の除菌消臭能力・安全性・有効成分の持続性はまさに三ツ星。アクアサニター採用後、その日を境に「カビによるクレームは0」となりました。
さらに、私たち自らがその効果を体感したことにより、保冷剤の製造だけでなく、もっと幅広い用途に使えることにも気づかせていただきました。

今までは「作った商品を日持ちさせること」を目的とした商品ばかりでしたが、この微酸性電解水との出会いで「商品を作る工程での衛生管理までもプロデュースすること」に携わることができると確信しました。
また、この高い除菌力と消臭力、安全性を生かせば、病院や介護施設、ペット産業など、その用途はまだまだ広がりを見せそうです。

遠回りになろうとも妥協せずに取り組んだ結果、予想を遥かに凌ぐ最高の商材と巡り合えました。
まさに思いもよらぬ方向への大ジャンプです。

感謝の心を還元する

太古の恵みを世界中へ

私たちにとっては見慣れた風景ですが、津久見インターチェンジの景色に驚かれるお客様が後を絶ちません。真っ白な石灰の山です。

津久見市は石灰石の埋蔵量や採掘量、質、立地でも日本屈指の好条件を持っています。
私はこの山を見るたびに、人間が作ろうと思ってもできない太古の恵みである石灰石と、その副産物である石清水に感謝と畏敬の念を感じます。この石灰石から乾燥剤を作り、石清水からは、アクアサニター(微酸性電解水)を製品化しています。

津久見という土地に生まれ、育てて頂いた恩を忘れず、地域に深く根を下ろす企業として、地域の方々に感謝し、地元の雇用を盛り上げ、社員全員の幸福の向上を目指します。
小さな町の大きな恵みを世界中へ・・・弊社の挑戦はまだまだ続きます。

宝物はご縁と言葉

明日咲くつぼみを育て続けます

鳥繁産業は創業58年、丸京石灰は129年
たくさんの方とのご縁を頂き、ここまで歩んできました。

丸京石灰の創業者・京太郎の「ものづくり精神」父・克行の「夢の商品つくり」そして、私が新卒の頃お世話になった東京の紙管メーカーの社長から頂いた「いま咲く花は綺麗だけれど、明日咲くつぼみを持っているか?」の言葉を胸に最高の製品を作り続けます。

出会うすべての方とのご縁を大切にし、これからも不断の努力を重ね「明日咲くつぼみ」を育て続けていきます。