お客様紹介

株式会社山忠 様

「ひじき」「わかめ」といえば山忠。
海藻食文化の発展と、健康で豊かな食生活を願うブランドコンセプトSEAGANIC(シーガニック)を展開されています。
株式会社山忠の社長、山城繁樹さまにお話を伺いました。

はじまりは「青のり」でした

弊社とのご縁のきっかけは何だったのでしょうか。

山城様

戦後、創業者の山城忠は佐伯の海産物の販売を始めました。地元佐伯市の番匠川の中流で採れていた青のりの商品に使用する乾燥剤を供給してくださったのが、鳥繁産業さんでした。

その後、家庭排水や護岸工事の影響で青のりは採れなくなり、主力商品はわかめとひじきに変わっていきました。

転機となった海藻サラダ

海藻サラダを最初に作られたんですよね。

山城様

1983年に日本で初めて海藻サラダを開発し販売を開始しました。
水で戻すだけで栄養価の高い海藻が食べられると人気となり、海藻サラダは爆発的に売れました。
しかし、長続きはしませんでした。

この経験を通じて現状維持ではダメで、「良い」と思った次には「悪く」なる。次の布石を打ち続けることの大切さを学びました。

今一度、ひじきに着目

今や、山忠さんといえばひじきが有名ですね。

山城様

おかげさまでひじきは、国内シェア六割を超えています。
原材料の選定、ひじき本来の風味や食感を引き出す独自の製法、全過程において厳しい検査基準に基づいた品質保証により、おいしさと安全で選ばれていると思います。

もともとひじきは、佐伯の大入島の生産者から相談されたのが始まりで、その頃は伊勢ひじきの全盛期でしたが、だんだん豊後ひじきというブランドで売れるようになっていました。
しかし、海藻サラダの一件がありましたので、現状維持ではなく次の一手を真剣に考えました。

乾物のその先の商品作り

それが、調味加工品の開発へと繋がったのでしょうか。

山城様

保護者が子どもに食べさせたいものの上位に「ひじき・海藻」が入っているのですが、乾物のひじきを水で戻して料理するのは手間がかかります。

そこで、ひじきの調味加工品を作りました。ソフトタイプのひじきふりかけ、ひじき煮、ひじき白和の素などです。ニッチではありますが、手軽さとおいしさが、幅広い世代の方に喜ばれ、白和えの素は発売から二十年を超えるロングセラー商品です。

また、栄養価や機能性が再認識されている海藻をより身近に食べていただけるよう、ひじき、わかめ、めかぶをパウダーとして商品化しました。
パンやお菓子、麺などにご利用いただいており、商品の付加価値を高める一助になればと考えております。
それが、人々の健康的な食生活に繋がるとうれしいですね。

リスク分散、安心・安全な商品をお届けするために

近年、大分県内の内陸部に工場を新設されましたね。

山城様

きっかけは、東日本大震災です。地震が発生した時、商談で東京にいた私は、大きな揺れと混乱を身をもって体験しました。
親しくさせていただいている企業様の社屋や食品の製造工場の壊滅的な被害、そして東北を襲った津波。

弊社の本社と工場は沿岸部にありますので、リスク分散と、さらなる生産能力増強のため、大分県豊後大野市犬飼町に工場を構えました。

人との交わりが情報を与えてくれる

情報の収集は、どのようにされていますか?

山城様

「まだないもの」を生み出すのは難しい。きっかけをどうやって掴むかは、人と交わることにつきます。海外に出向き文化の違う人々の生活や考え方に触れること。お取引先の営業さんのひとことにヒントをもらうこともあります。

お客様は商品を購入してくださる方だけではありません。弊社に出入りしてくださる宅配便のドライバーさんや、お掃除サービスの方など、会話すべてが情報を与えてくれます。

海の豊かさを守り、海藻食文化の可能性を追求

近年、海藻類が採れなくなったという話を耳にしますが、取り組まれていることがあるとか。

山城様

温暖化による海水温度の上昇などで、ひじきをはじめ、ほかの海藻類も収穫量が減っています。「海の中からの管理」に挑戦しようと、二十年ほど前から全国各地の海で、ひじきの栽培を行っています。

安心してお召し上がりいただくため、また、生産者の安定収入と藻場の育成も期待できると考えています。藻場ができると、魚介類の産卵・発育場所となり、海の浄化にもつながります。海藻の可能性をさらに追求していきたいです。

壮大なプロジェクトですね。お話を伺いながら、私自身、心を新たにしました。
本日はありがとうございました。

取材協力

海と食卓の間に

株式会社 山忠 様

大分県佐伯市 鶴谷町1-4-30
https://seaganic.co.jp/
電話:0972-23-3344